日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ショ糖脂肪酸エステルとピロリン酸カリウムを含む製剤による温州ミカンじょうのう膜の剥皮効果
界面活性剤の食品への利用に関する研究(第6報)
毛利 善一田村 順一
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1978 年 25 巻 6 号 p. 333-337

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抄録
(1) ショ糖脂肪酸エステルと重合リン酸塩を組合わせることにより,ミカンじょうのう内皮の剥皮効果は増強された。
(2) ショ糖オレイン酸エステルとピロリン酸カリウムを主成分とする配合物(Additive A)は,水酸化ナトリウム共存下よりも塩酸共存下の方が,界面張力の低下は大きかった。
(3) 早生温州の場合Additive Aは,0.1%濃度以上添加することにより,効果が発揮され,塩酸,水酸化ナトリウム濃度を無添加に比べて,おのおの2分の1以下に減少できた。
(5) 早生温州の場合Additive A添加により,塩酸処理では無添加に比べて,10分以上処理時間短縮が可能であるが,アルカリ処理では,時間的な差は,ほとんど認められなかった。
(5) 普通温州の場合処理温度が10℃では,AdditiveAの添加によっても,ほとんど剥皮されなかったが,20℃では,かなり剥皮され,Additive Aの添加効果も見られるようになり,温度の影響の方がAdditive Aに比べて,はるかに大きいことが認められた。
(6) 中生温州の場合Additive Aの添加により,塩酸濃度を2分の1に,温度を8℃同時に低下させることが可能となり,さらに無添加に比べて,処理条件がおだやかになったために,ブロークンは2分の1以下に低下し,完全果は6~9%増加した。
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