日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
液糖の風味付与条件の決定
液糖の風味付与について(第1報)
伊藤 汎
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1978 年 25 巻 9 号 p. 515-518

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抄録

好ましい甘味香を持ち,糖蜜臭のごとき不快な匂いを含まない液糖を,現在の液糖の製造工程を大巾に変更することなく,簡単な操作で製造する方法について検討した。
試料として,純度の高い蔗糖型および50%転化型液糖を用いて,原料から由来する糖蜜臭を除き,加熱時間および温度を変えて処理した。処理後の試料のマルトール化合物量を測定し,順位法による官能検査で香りと味について比較した。
以上の結果,蔗糖型液糖では,120℃, 1.5時間,50%転化型液糖では120℃, 10分間の加熱で好ましい甘味香を有し,こげ臭や苦味のない液糖ができることが明かとなった。しかし,現在の液糖製造工程を大巾に変更しないで蔗糖型液糖に適用するには無理がある。それに比べ転化型液糖のごとく還元糖を含む液糖は容易な操作で効果のあることがわかった。

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