日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ゲルろ過クロマトグラフィーを応用した各種肉製品中の大豆蛋白製品の分析
飯島 淑子
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1979 年 26 巻 10 号 p. 417-421

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抄録

Gel permeation chromatographyを応用した肉製品中の大豆蛋白製品の分析法について述べた。
これは, 大豆蛋白製品中に存在し, 澱粉と類似の挙動を示すが, アミラーゼで消化されない多糖成分の分子量分布クロマトグラムの分子量50万のピークに着目した方法である。
このピークの高さは, 各種大豆蛋白製品によって異るが, それぞれにおいて, 直線性が認められ, これに基いた定量分析が可能であった。この多糖成分の構成単糖は, いずれもラムノース, ガラクトース, グルコース, アラビノース, キシロースであった。今後の課題として, これら単糖の含有量と, 比率による各種大豆蛋白製品の識別と分析の可能性も推測される。
大豆蛋白製品の「ピークの高さ」として一般化した値を求めることは出来ない。したがって, 添加されている大豆蛋白製品が未知の場合は, 大豆蛋白製品の添加の有無の判定に有用で, 大豆蛋白製品の「ピークの高さ」がわかっている場合は, それを基準にして, 各種肉製品中の大豆蛋白製品の定量分析が可能である。本法を適用して, 各種の大豆蛋白製品が添加されている肉製品中の大豆蛋白製品を定量分析した場合の分析精度は, 変動係数として, 12%以下 (各一回測定) であり, この種の食品分析法としては, 一応の結果を得たと考える。

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