日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
チキンボーンの酵素分解中に得られる脂質の性質
石田 賢吾鍛治 義延山本 淳
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1980 年 27 巻 1 号 p. 14-19

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抄録
エキス系天然調味料の品質安定化を目的として,チキンボーンを原料とする調味料の製造中に得られる脂質の性質および各画分の脂質酸化に対する作用について調べた。
(1) チキンボーンには10~13%の脂質が含まれ,そのうち7~8%が燐脂質であった。
(2) クッキングによって分離される脂質の燐脂質含量は低く,フレーバーは良好で酸化に対して安定であった。クッキング後の不溶性成分のプロテアーゼ分解によって分離される脂質では,燐脂質含量は約3%でやや不安定であり,不溶解性の微粒子として残存する区分には燐脂質が多量に含有され,フレーバーも不良で酸化に対して非常に不安定であった。
(3) クッキングによって得られるエキスおよびその残渣の酵素分解物はチキンオイルに対して抗酸化的に作用し,残渣区分は強い酸化促進作用を示した。
(4) リノール酸の乳化物を基質とするモデル系において,チキンボーンの冷水抽出物およびプロテアーゼ分解の残渣区分は強い酸化促進作用を示した。この作用はアスコルビン酸ソーダとトリポリリン酸ソーダとの共存下で阻害され,ヘム蛋白と無機鉄による酸化促進作用であるものと予想された。
本報告の主要な部分は日本食品工業学会昭和52年度大会において発表した。
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