日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
低食塩たまりの試作について
醸造食品の低食塩化に関する研究(第9報)
岡田 安司天野 武雄竹内 徳男好井 久雄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1981 年 28 巻 4 号 p. 201-207

詳細
抄録
アルコール(2~8% V/W)の添加によって,無塩および4.5, 9.0%の低食塩たまりを試作し,その品質的特徴を解析した。
(1) 食塩量4.5%以下のたまりでは,pH,全糖の減少および滴定酸度の上昇が著しく,通常たまりとは品質が明らかに異なっていた。
(2) 低食塩化に伴い大豆蛋白質の溶解および分解が促進され,遊離アミノ酸量の増加が認められた。
(3) たまりの色調は食塩濃度と関連はみられなかったが,アルコール濃度の増加によって,濃色化の傾向がみられた。
(4) 食塩量4.5%以下の低食塩たまりは,酢酸エチル臭が著しく強く,香気がよくなかった。しかし,通常たまりおよび食塩量9%以上の低食塩たまりはアルコール添加により香気が改良され,低食塩たまり製造に効果的であった。
(5) 以上の結果から最低限9%の食塩量が低食塩化の限度とみなされた。
著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top