抄録
アルコール(2~8% V/W)の添加によって,無塩および4.5, 9.0%の低食塩たまりを試作し,その品質的特徴を解析した。
(1) 食塩量4.5%以下のたまりでは,pH,全糖の減少および滴定酸度の上昇が著しく,通常たまりとは品質が明らかに異なっていた。
(2) 低食塩化に伴い大豆蛋白質の溶解および分解が促進され,遊離アミノ酸量の増加が認められた。
(3) たまりの色調は食塩濃度と関連はみられなかったが,アルコール濃度の増加によって,濃色化の傾向がみられた。
(4) 食塩量4.5%以下の低食塩たまりは,酢酸エチル臭が著しく強く,香気がよくなかった。しかし,通常たまりおよび食塩量9%以上の低食塩たまりはアルコール添加により香気が改良され,低食塩たまり製造に効果的であった。
(5) 以上の結果から最低限9%の食塩量が低食塩化の限度とみなされた。