日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ポリフェノールオキシダーゼによるココア,コーヒーおよび緑茶の酵素処理
元田 節士
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1982 年 29 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

ココア,コーヒーおよび緑茶の抽出液の酵素的褐変をAlternaria tenuis A-2株の生産するポリフェノールオキシダーゼを使用して検討した結果,本酵素により十分に褐変することを見出し本酵素の応用を検討した。醗酵ココア豆の抽出液は未醗酵ココア豆やローストしたココア豆の抽出液よりもより容易に本酵素により酸化された。いずれのココア抽出液も酵素酸化により,一層褐変化した。未醗酵ココア豆を本酵素で処理することによって,醗酵ココア豆に相当する原料ココア豆を調製した。コーヒー抽出液も本酵素で酸化された。酵素酸化によりコーヒー生豆の抽出液は褐色に変化し,ローストしたコーヒー豆の抽出液はさらに褐変化した。市販のインスタントコーヒーを本酵素で酵素処理することによって,より褐変化した着色濃厚なコーヒー飲料を調製した。緑茶抽出液もココアやコーヒーと同様に本酵素によって容易に酸化され,褐変化し,紅茶液に変化した。本酵素を使用して緑茶抽出液を紅茶液に転換しインスタントティーを調製した。

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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