日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
鶏肉と大豆蛋白質の熱凝固に及ぼす塩漬と加熱の影響
志賀 勝治永田 寿一池田 博明
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 29 巻 6 号 p. 327-332

詳細
抄録

鶏肉と分離大豆蛋白質の混合物を塩漬,加熱し,そのときの蛋白質の熱凝固をSDSポリアクリルアマイドゲル電気泳動法により検討した。
(1) 塩漬した鶏肉と分離大豆蛋白質の混合物を70℃に加熱した場合,肉蛋白質の大部分は凝固し,低塩濃度溶性区分の電気泳動図中に認められなくなった。しかし,大豆蛋白質の熱凝固は肉蛋白質ほど激しくなく,7S成分と11S成分のサブユニットが低塩濃度溶性区分の電気泳動図中に認められた。さらに,加熱温度を100℃まで上昇すると,7S成分のサブユニットはかなり減少するが,11S成分のサブユニットの減少はわずかであった。大豆蛋白質の熱安定性は塩漬により増大した。
塩溶性区分に抽出される蛋白質も,加熱により大巾に減少し,トロポミオシン,移動度の速い肉蛋白質および大豆蛋白質の一部がわずかに塩溶性区分の泳動図に認められた。塩漬によりトロポミオシンと移動度の速い肉蛋白質が,わずかながら増加した。
(2) 鶏肉と大豆蛋白質の混合物中の大豆蛋白質の検出を,低塩濃度溶性区分のSDSゲル電気泳動法により検討した。この結果,この方法は肉と分離大豆蛋白質の混合物中の大豆蛋白質の定性的検出に有効なことがわかった。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
次の記事
feedback
Top