日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
クリ-ムチ-ズの物性と微細構造
大橋 登美男永井 清一郎正岡 憲二芳賀 聖一山内 清オールソン N-F.
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 30 巻 5 号 p. 303-307

詳細
抄録

フレッシュクリーム,全乳および脱脂粉乳を用いて標準化を行い,工業的規模で製造したクリームチーズについて一般組成,物性および微細構造をしらべた。得られた結果の要点は次のとおりである。
(1)チーズ製造用原料乳1000kg当たりの平均生産量は400kgであった。 (2)製造した21試料すべての平均組成は,酸度0.92%,水分55.68%,脂肪33.32%,蛋白質8.55%,灰分1.08%であった。(3) 11および10試料のクリームチーズについて弾性率および粘着性を測定した結果,それぞれの平均値は15.46×106ダイン/cmcm2および1.21×103ダイン/cmcm2であって,一般組成と比較してかなり大きい変動を示した。 (4)走査型電子顕微鏡によるクリームチーズの微細構造の観察結果から,チーズ製造工程中に著しい構造変化をおこすことが示唆され,脂肪球の一部はカゼインミセルの集合体に取り込まれ,不定形凝集体を形成し,他の脂肪球は互いに融合し,製品の各所に大きい脂肪塊が存在することを認めた。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top