抄録
1979年から1981の3カ年間に生産された国内産小麦を原料とする60%小麦粉中の水分,たん白質ならびに灰分の測定に対する近赤外法の適応性について検討した。1980年産を原料とする60%粉37個体をもとに,重回帰分析の手法により作製されたキャリブレーションを用い,1979年及び1981年産小麦粉それぞれ15個体及び19個体中の水分,たん白質ならびに灰分を測定し,それぞれの成分における慣用法(乾燥法,ケルダール法及び灰化法)との標準誤差を求めた結果,それらは順に1979年産0.087%, 0.146%, 0.031%及び1981年産0.131%,0.179%, 0.035%で,灰分を除いてかなりの精度を得たが,t検定により慣用法との差を検定した結果,1981年産の水分だけが有意と判断された。灰分の測定精度の向上及び年度間のバイアスについてさらに検討を要する。