日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
渋カキのドライアイス脱渋に対するポリエチレン袋の厚みと結束方法の影響
真部 孝明
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1985 年 32 巻 11 号 p. 831-835

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抄録

ポリエチレン袋内でドライアイスを用いて渋カキの脱渋を行うに当たっての問題点を検討した。即ち,結び目口からの気体の漏れ,被覆材の有無とドライアイス粒度の違いに基づく昇華速度及びドライアイスの昇華と袋の破損などについて実験した。
(1) ポリエチレン袋の結び目口からの気体(空気)の漏れは,フィルムの厚みが増すに従って増大した。反転結びにすると直立結びに比較して漏れが少なかった。結ぶ場合の巻きつけ回数は6回以上になると漏れに殆んど差がなくなったが,3回と4回との間には大きな差があった。
(2) ドライアイスを開放状態にしておくと,50gが1時間でほぼ昇華してしまったが,ポリエチレン混入ポリスチレンの発泡シート(発泡シート)で被覆すると約3時間,これを更に新聞紙2枚で包むと約5時間に延長された。
(3) ドライアイスの粒度をかえて,発泡シートで被覆した場合,粒重が小さい程昇華速度は大きかった。このうち,10gと25gの間には昇華速度に大きな差がなかったが,50gでは昇華がかなり抑制された。即ち,初発重量の1/3となる時間は,1~5gで1時間42分,10g前後で1時間53分,25g前後で1時間57分,50g前後では2時間23分であった。
(4) 約5lのポレエチレン袋(厚み,0.03~0.09mm)にドライアイス30gを入れ,反転8回巻きして放置した。ドライアイスを直接入れた場合には,0.07mmの厚みの袋でも破損したが,発泡シートに包むと,0.05mm以下の厚みの袋の破損にとどまった。カキ果実を入れると,ドライアイスの昇華に基づく袋の破損が抑制され,破損したのは0.03mmの厚みの袋のみであった。

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