抄録
小豆生餡の製造は,一般に原料豆を煮て適度の硬さの煮熟豆を作って,それを磨砕し,篩分け,脱水する.その際,過度の煮熟により豆粒に胴割れ(亀裂)が生じ,さらにその割れ目から豆の内部組織が流亡して生餡の歩留まりや品質の低下をまねくことが問題となっている.一般に,原料小豆には多くの未熟豆粒が混在しており,これに胴割れが多い傾向がある.一方,胴割れは,煮熟中の過度の膨潤肥大と激しい動揺によっても生じることは周知のことであり,胴割れのない煮熟豆を作ることは非常に困難なことである.
そこで,筆者は原料小豆の膨潤による体積増加を2.2倍以内に抑えて90分間煮熟する新しい方法を開発した.この煮熟方法では,従来法と比べて歩留まりが1.3~0.6%程度優れ,沸騰水中で90分かくはんした場合でも理化学的特性は好まれる傾向のものであった.しかし,遊離でんぷん含量が多く,かくはんなどにより餡粒が崩壊し易いようであり,餡練りをする際にはこの点の注意が必要と考える.