と畜血液より得られた,血しょう蛋白質およびグロビンについて,乳化性を中心とした機能特性を検討した.血しょう蛋白質は,乳清蛋白質やカゼインよりも高い乳化活性を有し,特に酸性条件下,NaCl存在下で高い乳化性を示した.グロビンも,酸性条件下で乳化性の上昇が認められた.乳化に伴う血しょう蛋白質の脂肪球表面への吸着は,乳清蛋白質とは異なる機作,様式によっておこることが示唆された.脂肪酸付加による血しょう蛋白質の乳化性改善は明らかではなかった.血しょう蛋白質の活性炭処理を行ったところ,乳化性の顕著な低下が認められた.これは,血しょう蛋白質に何らかの乳化性成分ないし蛋白質の乳化性を高めるような成分が存在することを示唆するものと考えられた.血液蛋白質の特異な,優れた機能特性は,多様な食品への利用の可能性を示すものと考えられた.