日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
クッキーの性状におよぼす小麦粉中のグルテン含量の影響
赤羽 ひろ和田 淑子
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1987 年 34 巻 7 号 p. 474-480

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抄録

クッキーの性状におよぼす小麦粉中のグルテン含量の影響を検討するため,クッキー生地の材料配合を小麦粉45%,バター26%,砂糖21%,卵8%の一定として,小麦粉中のグルテン含量を乾麸量として0~12%に変化させてクッキー生地を調製した.クッキーの性状として,生地の硬さおよびクッキーのみかけの膨化率,吸水率,みかけの破断特性値,焼色の測定および官能検査を行った.
(1) クッキーの生地の硬さは小麦粉中の乾麸量が増加するにつれて大となった.
(2) ハンターの色度によるクッキーの焼色は小麦粉中の乾麸量が増加するにつれて明度がやや減少した.
(3) クッキーのみかけの膨化率は小麦粉中の乾麸量が増加するにつれて小となり,また,クッキー生地の硬さの大なものほど膨化率も小であった.
(4) クッキーのみかけの破断特性値のうち,みかけの破断ひずみはほぼ一定の0.27~0.31であったが,みかけの破断応力,みかけの破断エネルギーは小麦粉中の乾麸量の増加にともない大となった.
(5) 官能検査の結果,小麦粉中の乾麸量の大なものほどクッキーの焼色が濃く,硬く,もろさに欠け,口どけが悪く,甘くないと評価された.
(6) 物性測定値と官能評価値の関係は,みかけの破断応力と硬さ,みかけの破断エネルギーともろさ,みかけの膨化率または吸水率と口どけがよく対応した.
(7) 同一材料配合比のクッキーにおいて,やわらかく,もろく,口どけのよいものがより甘いと評価された.

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