日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ゴマ油によるフライ食品の酸化安定性について
福田 靖子大澤 俊彦川岸 舜朗並木 満夫
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1988 年 35 巻 1 号 p. 28-32

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抄録

ゴマサラダ油と焙煎ゴマ油の保存酸化安定性およびフ ライに使用した場合のフライ食品(クルトン)の保存安定性について,他の食用油と比較検討した.その結果,
(1)ゴマサラダ油,焙煎ゴマ油,サフラワー油,コーンサラダ油,サラダ油(ナタネ油と大豆油の調合油)を10gずつシャーレに入れ60℃で保存した結果,重量法による抗酸化試験では,焙煎ゴマ油>ゴマサラダ油≫サラダ油>コーン油>サフラワー油の順であった.
(2) 上記, 5種類の油を175℃, 2時間加温後に,同じく60℃で保存した場合にも同様に酸化されにくいことが示された.
(3) ゴマサラダ油,焙煎ゴマ油,コーン油で,パン切片を掲げ,クルトンとし, 60℃に保存し,経日的にクルトンから油を抽出しPV(meq/kg)を測定した結果,30日目で,コーン油613.0に対しゴマサラダ油80.0,焙煎ゴマ油6.0であった.
(4) (3)のクルトンから抽出した油の中のトコフェロール,セサモール,セサミノール量を定量した結果,コーン油では1ヵ月後にトコフェロールは,全く消失していたが,ゴマサラダ油では,約66%残存し,焙煎ゴマ油では,ほとんど分解されていなかった.

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