日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
葛澱粉および甘藷澱粉の熱的性質とアミロース含量の測定
北田 善三佐々木 美智子山添 胖中澤 裕之
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1988 年 35 巻 3 号 p. 135-140

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抄録

葛澱粉および甘藷澱粉の産地による違いを,その熱的性質とアミロース含量の面から明らかにするとともに,熱的性質を利用して両澱粉の混合割合測定の可能性を検討した.
(1) 熱的性質の測定には示差走査熱量計(DSC)を用い,試料の比較は主にonset温度(To)とピーク温度(Tp)で行った.
(2) 葛澱粉,甘藷澱粉の平均Tpはそれぞれ65.8℃, 73.3℃であり,産地による違いは甘藷澱粉が1.8℃の差であったのに対し,葛澱粉では7.7℃もの差がみられた.
(3) 葛澱粉,甘藷澱粉混合物のDSCを行ったところ, Tpでは葛澱粉の含量が20~70%の範囲で, Tpでは50~80%の範囲で含有比率依存性がみられたものの,両澱粉混合物の混合割合を測定するのは困難であった.
(4) アミロース含量の測定は,標準として葛澱粉由来アミロースおよびアミロペクチンを使用した青価法により行った時,アミロース含量と呈色度の間に良好な直線関係が得られた.
(5) 澱粉および甘藷澱粉の平均アミロース含量はそれそれ21.8%および21.7%で両者に差はみられず,また,産地の違いによるばらつきは葛澱粉の方が大きかった.

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