日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
キウイフルーツ果実の生育・貯蔵中におけるデンプンの組織化学的変化について
望月 てる代黒崎 敏晴
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1988 年 35 巻 4 号 p. 221-225

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抄録

キウイフルーツ(モンティ種)果実の生育・貯蔵中における成分,特にデンプンの生成と分解について組織化学的方法による検鏡を行うとともに,関連糖質の含有量の変化とあわせて検討した.
果実組織中のデンプン粒は,透過型電子顕微鏡下において受粉後14日より果肉部および果心部に観察された.しかし光学顕微鏡下においてデンプン粒は果肉部に受粉後28日より,果心部に受粉後63日より観察された.生育中に果実中のデンプン粒の粒子は大きくなり,その数も増加した.果実の貯蔵中にデンプン粒が減少する傾向が認められ,特に果肉部より果心部において著しかった.
デンプン含有量は生育に伴って増加し,受粉後160日に8.3%に達し,その後の果実貯蔵中にデンプンは加水分解されて急激に減少した.このようなデンプン含有量の変化は,組織化学的観察によるデンプン粒の変化や糖分析値ともよく一致することが確認された.

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