日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
γ-ポリグルタミン酸分解活性を有する麹菌のスクリーニング
上田 誠之助大庭 理一郎井尻 須美子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

1988 年 35 巻 5 号 p. 302-308

詳細
抄録
納豆粘質物(γ-PDLGA)を分解し,うま味を呈するグルタミン酸(Glu)を生産する酵素を見いだすため,麹菌株のスクリーニングを行った.
(1) 種麹26種より85株の肉眼的にことなる麹菌を分離し, γ-PLGAを強力に分解する Aspergillus oryzae N-2株を見いだした.
(2) A. oryzae N-2株をふすま固体培地で3日間培養し,粗酵素を抽出した.硫安分画(60~95)後,水道水で透析して,比活性が約3倍に上昇した部分精製酵素(PGAase)を得た.
(3) 本酵素のPLGAに対する作用至適温度は40℃,至適pHは4.5~5.0であった.
(4) 本酵素はγ-PLGAを良好に分解するが,γ-PDLGAは部分的に分解するのみで,γ-PDGAはまったく分解しなかった.
(5) 本酵素によるγ-PLGAの分解生成物をペーパークロマトグラフィーで検索したところ, Gluのみ遊離されており,反応形式はexo型の酵素(γ-PLGAase)であることが明らかになった.
著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top