日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
カンキツ果実の搾汁粕から調製した食物繊維のアマランス毒性の阻止効果
吉田 保治上田 茂登子伊東 卓爾泉 秀美
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 35 巻 6 号 p. 387-395

詳細
抄録

果汁工場の搾汁工程でできるウンシュウミカンなどカンキツ果実のパルプ粕から調製した食物繊維(CDF)がアマランス毒性の阻止に有効かどうかを知る目的で本実験を行った.
(1) CDFは主にセルロース,ペクチン質からなり, ヘミセルロースやリグニンは少なかった. WHCとSVは8.7と11.0であった.
(2) A飼料にCDFを1, 3, 5, 10%添加の飼料を与えると, 1, 3%添加ではラットの成長はアマランス毒性で阻害されたが, 5%添加ではかなり軽減でき,10%添加でほぼ完全に阻止することができた. CPは10%添加でもあまり有効でなかった.
(3) A飼料にCDF, CP, WF, PFを5%添加した飼料を,ラットに与えた場合のアマランス毒性の阻止効果は, CDFとPFはかなり有効であったが, CPとWFはそれ程有効でなかった.
前述のごとく, CDFは容易にカンキツ果実のパルプ粕から安価に調製でき, 5%添加でアマランス毒性によるラットの成長阻害をかなり軽減でき, 10%添加でほぼ完全に阻止できることがわかった.

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top