日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
超臨界二酸化炭素法と他の抽出法によるユズ果皮油の成分比較
沢村 正義栗山 敏直李 忠富楠瀬 博三
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1989 年 36 巻 1 号 p. 34-38

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抄録

ユズ果皮油の調製に超臨界二酸化炭素(SCCO2)抽出を試み,冷圧油および溶媒抽出油と比較した. SCCO2抽出条件として,抽出槽4lのパイロットプラントを使用し, 15℃, 100kg/cmcm2で抽出し, 30℃, 40 kg/cmcm2で分離した.試料としてはユズ搾汁後の残滓果皮および生鮮果皮を使用した.
(1) 残滓果皮からのSCCO2抽出で,ホモジナイズしたものおよび冷凍したものの収率はそれぞれ, 0.2%, 0.3 %と低かったが,残滓果皮を細切したものは約1.3%の収率であった.生鮮果皮からの収率は約3.9%と高かった.
(2) 各果皮オイルの一般物理的恒数を測定した.屈折率は1.47,比重は0.84~0.86でほぼ同じであった.比旋光度はSCCO2抽出油で67.96~82.1であり,冷圧油, 溶剤抽出油でそれぞれ91.18, 89.79であった.
(3) SCCO2法ではモノおよびセスキテルペン含量が比較的高かった.また,リナロール, β-ファルネセン, ビシクロエレメン,チモールなどの中高沸点成分割合が冷圧油および溶媒抽出油に比べて高かった.
終わりに,本研究の遂行にあたり,ご協力をいただいた高知県北川村農業協同組合に謝意を表します.また, 貴重なご助言を賜った台糖株式会社の高橋弘氏,並びに,超臨界ガス抽出実験にご協力していただいた三菱化工機株式会社の安芸忠徳氏に感謝致します.
本研究費の一部は高知県北川村農業協同組合奨学寄付金,並びに,昭和62年度本学教育研究学内特別経費によった.

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