日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
コーヒー豆,コーヒー浸出液及びインスタントコーヒーのトコフェロール含量
小川 美江子神谷 智恵子飯田 有子
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1989 年 36 巻 6 号 p. 490-494

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抄録

銘柄による14種類のグリーンコーヒー豆,それらを焙焼したコーヒー豆及びそのそれぞれからのコーヒー浸出液と38種類のインスタントコーヒーについてトコフェロール類(α-, β-, γ-, δ-Toc)の含量を高速液体クロマトグラフィーにより分別定量した.
14種類のグリーンコーヒー豆の総Toc含量は5.5~15.7mg,平均11.9mg/100gであり,その中で12種類は10mg/100g以上であった. α-Toc含量は2.3~4.5mg,平均3.5g/100g, β-Toc含量は3.2~11.4mg,平均8.4mg/100gであった.焙焼コーヒー豆のToc含量は減少し,総Toc 5.0~15.5mg/100g, αToc及びβ-Tocはそれぞれ1.9~4.1mg,平均3.2mg/100g, 2.7~11.4mg,平均8.0mg/100gであった.それぞれの残存率は総Toc 83~99%(平均94%),α-Toc 79~100%(平均91%), β-Toc 84~100%(平均95%)であった. γ-及びδ-Tocはグリーンコーヒー豆,焙焼コーヒー豆いずれにも検出されなかったα-:β-Tocの含量比は1試料が約1:1であったのを除外して,他は1試料が1:1.5, 12試料が1:2~3であった.
コーヒー浸出液及びインスタントコーヒーの100ml中のToc含量はどちらも平均0.007mg,インスタントミルクコーヒーは0.010mg/100mlであり,極めて僅少であった.コーヒー浸出液には焙焼コーヒー豆から0.4~1.8%のTocが浸出されたに過ぎず,粕の中に98~99%のTocが残存していることが分かった.

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