日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
大豆の全糖・遊離糖類含量におよぼす品種・粒大・栽培年次の影響
平 春枝田中 弘美斎藤 昌義斉藤 正隆
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1990 年 37 巻 3 号 p. 203-213

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抄録

(1) 大豆13品種を北海道立十勝農業試験場において2年間にわたり栽培し,篩別により得られた子実について,全糖,遊離型全糖,遊離糖類への品種,粒大,栽培年次の影響を検討した.
(2) 小粒化に伴う糖質含量の変化は,ショ糖の僅かな減少を除き増加の傾向がみられたが,その割合は全糖,遊離型全糖共に2~3%と小さく,一方,ラフィノース,スタキオースの粒大4に10%前後の増加がみられた.しかしながら,品種と粒大の影響をみると,品種からの影響が粒大からのそれに比較して著しく大きく,高い寄与率が認められた.
(3) 栽培年次が糖質含量におよぼす影響は,冷害年においてショ糖は20%程度増大し,一方,全糖遊離型全糖,ラフィノース,スタキオースの増加割合は10%以下と小さかった.品種と年次の影響をみると,全糖,遊離型全糖,ショ糖では栽培年の影響が,ラフィノース,スタキオースでは品種の影響の著しいことが認められた品種と栽培年次の寄与率から,ラフィノース,スタキオースを除くその他の糖において,栽培年次からの高い寄与率が認められた.

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