日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
キウイフルーツのβ-ガラクトシダーゼの精製およびその性質
小川 浩史福本 治次矢野 俊博山本 憲二栃倉 辰六郎
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1990 年 37 巻 4 号 p. 298-305

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抄録

キウイフルーツに含まれる各種グリコシダーゼ活性について検索した結果,強いβ-ガラクトシダーゼ活性を見いだした.本酵素をミキサー処理により得られる抽出液より,硫安分画,イオン交換,ゲル濾過等のカラムクロマトグラフィーにより,電気泳動的に単一蛋白にまで精製し,その性質について検討した.本酵素の分子量は約145000であった.至適pHは3.5付近で, pH3.5~5.0で安定であった.また,熱に対しては37℃まで比較的安定であり,反応の至適温度は45℃であった.反応速度と基質濃度との関係について検討したところ,P-NP-β-ガラクトシド,ラクトース,ラクチュロースに対するKm値は各々0.6mM, 5.3mM, 6.7mMであり,高濃度の条件下では基質阻害を示した. Hg2+およびp-CMBにより活性は阻害されたが,他の金属イオンやSH試薬・キレート剤などでは阻害されなかった.さらに,キウイフルーツの結実過程におけるガラクトース含量と本酵素活性とに相関関係が認められた.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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