日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
ラピッドビスコアナライザーによる小麦粉ビスコグラムブレークダウンの簡易測定
渡辺 英夫鈴木 修
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1991 年 38 巻 1 号 p. 44-48

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抄録

ビスコグラムブレークダウンの迅速,簡便な測定方法の確立を目的として,ラピッドビスコアナライザー(RVA)とα-アミラーゼ阻害剤であるEDTA (2K)を組み合わせて各種の試験を行い次の結果を得た.
1. 発芽処理小麦からの粉では最高粘度300BUあたりからRVA,ビスコグラフいずれのブレークダウンも急速に低下した.しかし,小麦粉をEDTA (2K)溶液に懸濁させて測定することにより,発芽処理小麦のものであっても健全小麦のものと同一のブレークダウンを示した.
2. RVAにより小麦全粒粉4.3gを0.1M EDTA(2K)溶液25mlに懸濁させ,93℃で12~13分間糊化して最高粘度と最高粘度到達後10分の粘度との差(RVAブレークダウン)を計測することによりビスコグラムブレークダウンに相当する粘度低下を測定した.
この方法ではRVAブレークダウンの変動係数が1%台と良好な再現性があり,また小麦粉,米粉のビスコグラムブレークダウンと高い相関が見られ,その簡易測定方法として利用しうるものと判断された.
3. RVAはビスコグラフに比べ感度は劣るが,懸濁液を60℃, 2分間保持した後測定することによりRVA最高粘度とビスコグラフ最高粘度との相関が高まり,またRVA糊化温度を90℃とすることによりRVAブレークダウンとビスコグラムブレークダウンとの相関の高まることが観察された.

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