1991 年 38 巻 10 号 p. 920-925
血漿蛋白質を食品素材として利用するために,酵素(トリプシン,ペプシン)による分解を行い,溶解性および乳化活性の改善を計った.
(1) トリプシン分解によっては,乳化活性はほとんど変化しなかった.ペプシン分解によっては,乳化活性は約50%減少した.これらを加熱処理すると,トリプシン分解したものは,血漿蛋白質と同様に乳化活性は低下するが,ペプシン分解したものの乳化活性の変化はわずかであった.
(2) ペプシン分解した血漿蛋白質を,疎水性クロマトグラフィーによって分画したところ,疎水性の高い画分は,高い乳化活性を示すことが示された.
(3) プロテアーゼによる分解と限外濾過の条件の組合せによって,いくつかの条件下で加熱処理したときの溶解性,乳化活性を改善することができた.