抄録
(1) 中国産新種ワサビ(Hilliella shuangpaiensis)の辛味成分をガスクロマトグラフィーで調べた.
(2) 中国産ワサビの辛味成分の主生成物は,アリルイソチオシアナートでありβ-フェニルエチルイソチオシアナートも多く含んでいた,このことは,西洋ワサビと似ている.しかし,ブチルイソチオシアナートが検出されず, 4-ペンテニルイソチオシアナートおよび5-ヘキセニルイソチオシアナートを多量に含んでいるのが特徴であった.さらに,沢ワサビにおいて重要なω-メチルチオアルキルイソチオシアナート(7-メチルチオヘプチルイソチオシァナート他)も含んでおり,沢ワサビ系統の特徴も有していた.
(3) 中国産ワサビの辛味成分の種類と含量から,沢ワサビと西洋ワサビの両方の特徴を併せ持った興味あるワサビであることが分かった.