日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
膜複合型リアクターによる馬鈴薯残渣からの乳酸生産
上野 孝前川 孝昭
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1993 年 40 巻 6 号 p. 400-405

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抄録
好気性菌のA. awamoriと通性嫌気性菌のL. lactisを別々に培養する膜複合型リアクターを用いて,粒状バレイショ澱粉およびバレイショ残渣から乳酸を生産する同時糖化発酵を行った.菌体と基質を分離するUF膜システムにより,新しい混合培養系による乳酸生産に成功した.得られた結果を以下に述べる.
(1) 水相に懸濁した状態の2菌株の細胞量の個別かつ定量的な測定が可能であり,それらの細胞増殖と基質消費・代謝生産物生成との相関関係をおおよそ把握することができた.
(2) 2.5%の粒状バレイショ澱粉から11.3g/lの乳酸が生成し,消費糖当りの生産収率は0.72に達した.
(3) バレイショ残渣をそのまま実験に用いると,粘度が高く撹拌が困難であった.澱粉濃度を高くするためには,バレイショ残渣から澱粉を抽出・濃縮する必要があった. 3%の澱粉抽出・濃縮液を用いた実験ではL. lactisの増殖は良好であったが,生成乳酸量(6.3g/l)および生産収率(0.36)はともに低下した.
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