日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
Lactobacillus delbrueckiiのフマル酸代謝に及ぼす培養条件の影響
鄭 昌敏宮本 拓片岡 啓大平 猪一朗米屋 武文
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1994 年 41 巻 7 号 p. 469-474

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抄録

Lactobacillus delbrueckii3菌種のフマル酸代謝に及ぼす培養条件について検討し,次のような結果を得た,
(1) 静置培養において培地にフマル酸を添加することによって菌の生育が促進された.
(2) フマル酸代謝能に及ぼす金属イオンの影響を調べたところ, Mg2+を添加した培地はフマル酸代謝能を促進したが, Cu2+の添加はフマル酸代謝能を抑制した.
(3) 静置培養において,フマル酸からL-リンゴ酸の生成量は, L. delbrueckii subsp. bulgaricusおよびL. delbrueckii subsp. lactisでは培養24時間目に, L. delbrueckii subsp. delbrueckiiでは培養28時間目に最大量を示した.一方,振盪培養では3菌株ともに培養48時間目まで漸増する傾向を示した.しかしながら,いずれの培養においてもフマル酸からのL-リンゴ酸の生成比率はほぼ同じ値であった.
(4) Mg2+存在下で, L. delbrueckii subsp. lactisを振盪培養することによってフマル酸は短時間のうちにL-リンゴ酸へ変換した.

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