日大医学雑誌
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症例報告
嚢胞液内 CA19-9 が高値であった巨大脾嚢胞の 1 例
相崎 一雄河野 悟木村 友洋中佐々木 一憲磐井 佑輔若林 正和藤平 大介小池 卓也船津 健太郎篠 美和保刈 岳雄高橋 知秀高野 靖悟風間 暁男
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キーワード: 脾嚢胞, CA19-9, 脾摘
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2013 年 72 巻 2 号 p. 108-112

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抄録

嚢胞内 CA19-9 が高値であった巨大脾嚢胞を経験したので報告する.症例は 35 歳の女性.平成 22 年 7月頃より腹部腫瘤自覚あるも放置.検診で貧血と脾腫を指摘され精査目的で当科紹介となった.初診時 Hb 5.6g/dl と著明な貧血を認める以外に異常はなく,血清 CEA,CA19-9 も正常であった.腹部 CT では脾臓内に径 20 X 17 X 14 cm の巨大嚢胞を呈したが,その他の画像所見では異常は認めなかった.以上より巨大脾嚢胞による圧迫症状,嚢胞内出血に伴う貧血を考慮し,脾臓摘出術を施行した.脾臓の重量は1.4 kg, 嚢胞内容液は褐色で 2670 ml であった.嚢胞内CA19-9 は 34751.0 U/ml と高値を示した.病理組織学的検査では真性嚢腫で,悪性所見は認めなかった.真性嚢腫は脾嚢胞の約 2 割であり特発性のものが多い.また,最大径が 15 cm 以上の巨大な脾嚢胞は比較的稀な症例であり,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2013 日本大学医学会
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