抄録
様々な悪性腫瘍において宿主の免疫能が治療効果や予後に重要であることは知られている.悪性疾患のうち,造血器悪性疾患においては化学療法が治療の主体であり,抗癌剤や分子標的薬を用いて根治もしくは病勢コントロールを図る疾患が多い.分子標的薬の開発による治療の進歩はめざましいが,近年はさらに免疫チェックポイントを標的とした免疫制御療法が開発され臨床応用,もしくは開発が進んでいる状況である.免疫制御を意図した薬剤は抗体製剤が主体であり,小分子化合物において免疫効果を高めることを意図して開発されたものは皆無である.しかしながら,小分子化合物において抗腫瘍効果とはまた別に,副次的な効果として免疫活性化作用が認められ,治療効果と関連することが知られている薬剤がある.多発性骨髄腫における immunomodulatory drugs であるサリドマイド,レナリドミド,ポマリドミドおよびフィラデルフィア染色体陽性白血病に対するダサチニブがそれに該当する.これらの薬剤の免疫制御作用は基礎的な研究結果の裏づけだけではなく,臨床的にも意義が見出され,現在では一般的な知見とされている.ここでは,これらの薬剤における基礎的な免疫制御作用および臨床的意義について概説する.