2023 年 82 巻 2 号 p. 101-105
対側の内頚動脈閉塞を伴う症候性の頭蓋内内頚動脈狭窄の症例に対し,浅側頭動脈‒中大脳動脈吻合術 (superficial temporal artery – middle cerebral artery bypass; STAMCA bypass) を施行し,良好な転帰を得た症例を経験した.症例は 52 歳男性で,右下肢の脱力を主訴に来院した.頭部 magnetic resonance imaging (MRI) で両側の分水嶺に散在性の脳梗塞を認め,脳血管撮影および MRI による脳還流画像で,右内頚動脈閉塞と左内頚動脈終末部の狭窄,および左大脳半球に優位な血流低下を認めた.積極的な内科的治療に抵抗性を示し一過性脳虚血発作(transient ischemic attack; TIA) を頻回に認めたため STAMCA bypass を施行した.術後は動揺性であった右下肢の脱力症状が消失し,合併症なく社会復帰した.対側の内頚動脈閉塞を伴う頭蓋内内頚動脈の狭窄症例に対して,TIA の頻発期に STA-MCA bypass を行うことが治療の選択肢になると考えられた.