栄養精神医学
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症例報告
貧⾎のない鉄⽋乏を背景に反復性失神と抑うつ不安状態を呈した若年⼥性の⼀例
渡辺 綾
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2026 年 2 巻 1 号 p. 431-436

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抄録

[背景]貧⾎のない鉄⽋乏が精神症状や⾃律神経症状に関連する可能性があるが、精神科の臨床現場では⼗分に評価されていない現状がある。

[症例]26 歳⼥性。思春期以降に抑うつ、不安、パニック発作、反復性失神を呈し、うつ病、パニック障害の診断のもと、エチゾラムなどの向精神薬を服⽤していたが、他の医療機関を受診。初診時、⾝⻑161cm、体重47kg、BMI 18.13、⾎圧90/68mmHg、倦怠感、冷え、抜け⽑、不眠、便秘、⾷欲なし。Hb 14.3 g/dL と貧⾎はないが、フェリチン11.2 ng/mL と低値であったため、硫酸鉄製剤105mg 2 錠/⽇とアスコルビン酸製剤200mg/⽇で補充の継続を⾏った。鉄補充開始後まもなく失神は消失し、その後フェリチンは58.9 ng/mL まで上昇し、抑うつ・不安も段階的に軽減し、向精神薬も不要となった。⻑期経過ではフェリチン150 ng/mL 前後で推移し、精神症状の再燃を認めていない。

[結論]反復性失神や抑うつ不安症状を呈する症例では、Hb のみでなくフェリチンを含む鉄代謝評価を⾏い、指標の推移を確認しながら栄養学的介⼊を検討することが⽰唆された。

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