抄録
市立大町山岳博物館が収蔵する美術資料の山岳風景画(山岳画)10点について、山座同定を中心に描画風景と山岳風景との同定を行い、作画モチーフとなった山岳風景および描いた地点を推定するに至ったので、その内容について詳述した。これは、2015(平成27)年度に当館で開催した企画展「山岳風景画の世界 ―“山博”収蔵コレクション―」にともなって実施した山岳画に関する現地調査等をもとにしたものである。
描かれた個々の山岳風景を詳細に確認することで、作画モチーフとしたと推定される実際の山岳風景が各作品の画面の中に忠実に再現されていたことが示された。このような収蔵美術資料に関する情報はこれまで不足するものであったが、今回の同定によって各資料情報を蓄積することができた。それにより、当館の収蔵資料のうち、山岳画という分野でのコレクション化が一層図れ、ひとつの資料群として資料価値を高めることにつながった。