抄録
建築物の室内環境に起因して労働者が呈するさまざまな症状を総じて「シックビルディング症候群」と呼んでいる。その症状には、粘膜の刺激、皮膚の乾燥や紅斑、頭痛やめまいなどの不定愁訴などがあり、特定の建築物や居室内で就業中にこれらの症状が増悪し、そこから離れると改善または消失するのが特徴である。室内を汚染するガス状物質やダスト等の化学物質、真菌や細菌等の微生物、過剰な温度、高湿度、過乾燥、不十分な換気、不十分な清掃や設備の維持管理、騒音、振動、職場や職業でのストレス等がリスク要因となる。したがって、建築物室内における環境の適切な維持管理、就業や職場でのストレス管理が対策として重要である。