抄録
【目的】心臓血管外科術後の高齢患者の身体機能低下に影響を与える要因を明らかにすることである.【方法】対象は2019年5月~2020年3月に待機的心臓血管外科手術を施行した41例.調査項目は年齢,性別,BMI,原疾患,既往歴,生化学検査値,手術関連データ,SPPB,歩行速度,握力,身体計測,MNA-SFとした.対象をSPPB維持群と低下群に分類して,単変量解析にて検討し,有意差があった項目を独立変数,SPPB低下の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を実施した.【結果】維持群28名(68%),SPPB低下群13名(32%)であった.SPPB低下群において歩行速度,握力,身体計測値(AC,AMC,AMA),MNA-SF,Hbが有意に低値であった.ロジスティック回帰分析の結果,AMCは術後身体機能低下の独立した因子として抽出された.【結語】術後の身体機能に影響を与える要因として術前AMCが抽出され,有症状の高齢心疾患患者に対する評価として有用性が示された.