2025 年 42 巻 2 号 p. 74-78
日本では海外に比べより普及しているmagnetic resonance imaging(MRI)を客観的評価法として推奨した独自の指針として「バセドウ病悪性眼球突出症(甲状腺眼症)の診断基準と治療指針」や「甲状腺眼症診療の手引き」が示されてきた。これにより,MRIを用いて活動性の有無や局在を評価し,活動性甲状腺眼症に対するステロイド(グルココルチコイド)のパルス療法や局所注射による抗炎症治療を中心に,必要な治療を組み合わせてきめ細やかな診療が行われてきた。しかしながら,ステロイド治療は消炎効果がある程度得られるものの,眼球突出の改善が乏しく複視の改善は中等度で,再燃がしばしば認められること,最重症の視神経症に対する効果は不十分であることなど課題が残されていた。甲状腺眼症に対するこれまでの治療と課題を理解し,新規薬剤の臨床使用が展開されたこれからの甲状腺眼症の至適治療に結び付けることが必要である。