脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
症例報告
亜急性硬化性全脳炎に対するinterferon-α, ribavirin脳室内注入療法の副作用, 合併症について
佐藤 研中川 栄二野々田 豊新井 麻子佐久間 啓小牧 宏文須貝 研司佐々木 征行
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 41 巻 3 号 p. 224-228

詳細
抄録
 亜急性硬化性全脳炎患者に対し, 1人にinterferon-α (IFNα) とribavirin, 2人にIFNαの脳室内・髄腔内注入療法を実施した. 3例とも明らかな臨床効果は認められなかったが, リザーバーの劣化, 細菌性髄膜炎, および脳圧亢進によると思われる大脳白質障害のため, リザーバーの入れ替えや治療中止を余儀なくされた. 治療実施にあたっては, これらの合併症についても十分に考慮すべきである. IFNαの脳室内・髄腔内投与に加えて, 最近はribavirinの脳室内投与も行われるようになっているが, 未だ十分なエビデンスがあるとは言い難い. 標準的な治療方法が確立されていない点が問題であり, IFNα投与のプロトコールや治療の中止時期について統一した基準が必要である.
著者関連情報
© 2009 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top