抄録
 亜急性硬化性全脳炎患者に対し, 1人にinterferon-α (IFNα) とribavirin, 2人にIFNαの脳室内・髄腔内注入療法を実施した. 3例とも明らかな臨床効果は認められなかったが, リザーバーの劣化, 細菌性髄膜炎, および脳圧亢進によると思われる大脳白質障害のため, リザーバーの入れ替えや治療中止を余儀なくされた. 治療実施にあたっては, これらの合併症についても十分に考慮すべきである. IFNαの脳室内・髄腔内投与に加えて, 最近はribavirinの脳室内投与も行われるようになっているが, 未だ十分なエビデンスがあるとは言い難い. 標準的な治療方法が確立されていない点が問題であり, IFNα投与のプロトコールや治療の中止時期について統一した基準が必要である.