抄録
移動不能で経口摂取が困難で, 呼吸器感染症に罹患するリスクが高いと考えられる在宅重症心身障害児 (者) 3名に23価肺炎球菌多糖体ワクチンを接種した. 重症心身障害児 (者) は同ワクチンが推奨される疾患群には挙げられてはいないが, 肺炎球菌は肺炎の重要な原因菌であり, 耐性化が進んでいること, 重症心身障害児 (者) の生命予後が不良なこと, および肺炎が第一の死亡原因になっていることを考え, ワクチン接種は考慮すべき予防法であると思われる. 将来的には肺炎球菌の結合型ワクチンの適応も考え, ワクチンの動向に注意を払う必要がある.