脳と発達
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シンポジウムⅡ:遺伝性神経・筋疾患―診断と治療の最前線
ミトコンドリア病の診断と治療
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古賀 靖敏
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2010 年 42 巻 2 号 p. 124-129

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抄録
 ミトコンドリア病とは, ヒトのエネルギー代謝の中核として働く細胞内小器官ミトコンドリアの機能不全により, 症状を呈する症候群の総称である. 遺伝的には核もしくはミトコンドリアの遺伝子異常に分類される. その診断で最も大切なことは, まず本症を疑うことである. 最も診断に有用な特殊検査は筋生検であり, 病理学的, 生化学的, 分子遺伝学的解析が可能となる. 現在, ミトコンドリア脳筋症を適応症とする薬剤は世界でも存在せず, すべての薬剤は適応外使用である. 日本ではMELASに対するL-アルギニンの医師主導治験が進められているが, オーファン病であるミトコンドリア病に関して, 今後は国際的な治療薬の共同開発整備が重要である.
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© 2010 一般社団法人日本小児神経学会
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