2010 年 42 巻 2 号 p. 130-133
国立精神・神経センターに, 精神遅滞のリサーチ・リソース・レポジトリーを構築し, 精神遅滞の遺伝学的検査を行った. 平成21年4月末現在で276家系が登録され, 48%が家族性精神遅滞, 弧発例は52%で, そのうち男性弧発例が65%, 女性弧発例が35%であった. 遺伝学的検査では, 登録されている276例のうち概ね150例の検査を終了し, 遺伝子変異は, 12家系 (155家系中7.7%) で認めた. そのうち7家系は, 本邦初例であった. X染色体CGHアレイでの検討では, 10家系 (140家系中7.9%) に陽性所見を得た. 以上より全体の15%程度で精神遅滞の原因となる遺伝学的な変化を認めた.