脳と発達
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症例報告
局所症状のみを呈した急性自律神経ニューロパチーの小児例
新井 ひでえ久保田 博昭小俣 卓田邉 雄三
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 42 巻 5 号 p. 372-376

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抄録

 左上肢に限局する自律神経症状を示した5歳女児を経験した. 左手掌の冷感および左上肢の発赤腫脹が突然出現し, 24時間後に発熱・水痘様発疹を認めた. 他の神経症状や重篤な汎自律神経失調症状は認めず, ウイルス抗体価を含む血液生化学・髄液検査で異常を認めなかったが, 両側正中神経刺激でのF波の消失, 左正中神経複合感覚神経電位の低下, 左側交感神経皮膚反応 (SSR) の振幅低下と氷水浸漬試験 (CIVD) で交感神経機能低下を示し, 急性自律神経ニューロパチーと診断した. 水痘初感染が否定されるまでaciclovir投与を行い, 左上肢の症状は自然経過で軽快したが, SSRとCIVDの異常は9カ月後でも残存していた.

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© 2010 一般社団法人日本小児神経学会
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