脳と発達
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短報
West症候群のACTH治療前後における酸化ストレスの検討
小野 浩明福原 里恵
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2011 年 43 巻 2 号 p. 141-142

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抄録
 West症候群は乳児期に発症する年齢依存性てんかん脳症の一つである. ACTH療法がspasmsに対して有効であるが, その後の発達遅延・退行, Lennox-Gastaut症候群への移行など治療後の問題点も多い. 近年, 酸化ストレスは様々な疾患の発症に関与していることが知られており, West症候群においても脳内の酸化ストレスの存在が認められている. 今回, 症候性West症候群の1例において, 酸化ストレスマーカーの一つである8-hydroxy-2'-deoxyguanosine (8-OHdG) を経時的に測定し, ACTH療法前後の酸化ストレスを評価した. 8-OHdGは治療前高値を示したが, 治療開始後, spasmsの消失と共に低下した. ACTH療法はWest症候群の酸化ストレスを軽減する可能性が示唆された. 児は発症後から退行を示しており, 酸化ストレスの発達遅延への関与も疑われた.
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© 2011 一般社団法人日本小児神経学会
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