2011 年 43 巻 4 号 p. 295-299
二相性けいれんと遅発性拡散能低下を呈する急性脳症 (AESD) では, 大脳白質の拡散能低下は前頭葉優位に出現することが多く, また, 第一相と第二相のけいれんの間はさまざまな程度の意識障害以外には局在性のある神経症状に乏しいことが多い. 今回, 二相性のけいれんと大脳白質の拡散能低下を呈しAESDと考えられたものの, (1)拡散能低下が後頭葉優位に認められ, (2)臨床症状として視覚症状が先行し高次脳機能障害が主症状であった症例を報告した. 画像上の異常信号の分布という観点から, AESDのsubgroupとして後頭葉優位に病変が出現する一群が存在する可能性がある.