脳と発達
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原著論文
インフルエンザウイルスH1N1 (2009) による急性脳症の臨床的検討
渡辺 好宏辻 恵鮫島 希代子和田 敬仁井合 瑞江山下 純正林 拓也相田 典子小坂 仁
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2012 年 44 巻 1 号 p. 35-40

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抄録
 2009年~2010年シーズンにインフルエンザウイルスH1N1 (2009) が全国的に大流行し, 小児重症患者の発生が報告された. 当院ではインフルエンザウイルスH1N1 (2009) による急性脳症を12例経験し, インフルエンザ脳症ガイドライン (改訂版) に沿い, 診療を行った. 症例は全例で基礎疾患・既往歴を有し, 意識障害を呈した. 脳波は全例で高振幅徐波を認め, 頭部CT, MRI検査ではそれぞれ4例, 6例で異常所見を認めた. 治療は5例に脳低体温療法を施行し, 予後は全例で軽快~軽度後遺症であり, 重度な後遺症を残した症例は認めなかった. 今後も重症例が増加する可能性があり, 適切かつ早急な診断・治療が必要と考えられた.
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© 2012 一般社団法人日本小児神経学会
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