2012 年 44 巻 4 号 p. 284-288
重症心身障害児 (者) (以下, 重症児) の呼吸不全に対する非侵襲的陽圧換気療法 (noninvasive positive pressure ventilation, 以下NPPV) 20例を検討した. 有効例は, 急性期導入11例中10例, 慢性期導入9例中7例であった. 1年以上使用例は12例であった. 全例で合併症はなかった. 急性期NPPV症例では, 1例を除き, 導入早期に気道確保の工夫と適切なマスク選択によって換気効果が得られ, 挿管を回避できた. 開口例や上気道狭窄例では, チンストラップの併用が有効であった. 急性期回復後, 5例は早期に呼吸器を離脱した. 5例は長期使用へ移行し, 急性呼吸不全の再発を予防できた. NPPVは重症児の呼吸不全に対し有用な治療法と考えた.