抄録
この30年来の分子生物学のめざましい進歩により, 多くの疾患責任遺伝子が明らかにされてきた. この間, 責任遺伝子の同定方法も時代に伴って変遷してきた. かつては壮大な研究計画を必要としたが, 最近ではたった1例の貴重な症例のデータが疾患責任遺伝子の単離につながることがある. 近年登場した次世代シーケンサーにより本格的なパーソナルゲノムの時代に突入したが, ベッドサイドで出会う, たった1例の貴重な症例の解析が, 原因が明らかでない疾患の責任遺伝子発見に繋がる可能性があることを知っておきたい.