脳と発達
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シンポジウム11:ゲノムの構造・機能から見た発達障害疾患の病態理解
自閉性障害の多様な遺伝学的病態とシナプス関連病因遺伝子の解析
山形 崇倫松本 歩永田 浩一
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2014 年 46 巻 2 号 p. 125-130

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抄録
 自閉症スペクトラム障害 (autism spectrum disorder ; ASD) では, 染色体微細構造異常が患者の10~20%で検出され, 候補遺伝子解析や全エクソーム解析で病因遺伝子が多数同定されている. 病因遺伝子には, シナプス結合, シナプスでの翻訳や神経伝達物質の調整に関連する遺伝子等があり, 主要病態はシナプス結合・機能異常である. 我々は, 知的障害患者でLIN7Aを含む欠失, ASD患者でLIN7B重複, スプライス部位変異を検出し, マウス子宮内遺伝子導入技術等でLIN7が神経系に重要な作用を持つことを示した. LIN7は, SHANK3同様, シナプス結合や機能に関与する分子の安定化や機能を調節する足場蛋白で, ASDの病態解明に足場蛋白は重要な分子である.
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© 2014 一般社団法人日本小児神経学会
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