脳と発達
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シンポジウム10:難治性てんかんの病態を探る:分子遺伝学,病理,免疫,代謝異常,画像,電気生理
大脳皮質の発生と難治性てんかん
高橋 孝雄三𣘺 隆行
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2014 年 46 巻 3 号 p. 187-190

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抄録

 臨床遺伝学や神経生物学の進歩により, 不明な点が多かった難治性てんかんの病態が明らかになりつつある. 特に神経細胞の膜電位を保持する, あるいは活動電位を形成する細胞膜上のイオンチャンネルの機能異常が難治性てんかんの原因として注目されてきた. 一方, 神経細胞間の情報伝達, 興奮あるいは抑制に関わる分子や神経細胞自体の異常によっても難治性てんかんが生じる可能性が想定されている. 難治性てんかんの病態の背景にある先天的要因を理解するためには, てんかん原性の中核要素である大脳の発生過程を理解しておくことが重要と考えられる. 本稿では, 大脳皮質の構造とその発生メカニズム (神経前駆細胞の分裂増殖, 分化誘導, 幼若な神経細胞の移動, シナプス形成など) の概略をご紹介する. 難治性てんかんの病態理解の一助となれば幸いである.

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© 2014 一般社団法人日本小児神経学会
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