脳と発達
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46 巻, 3 号
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巻頭言
座談会
総説
  • 師田 信人, 久保田 雅也, 根本 明宜, 片山 容一
    2014 年 46 巻 3 号 p. 179-186
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】Baclofen髄注 (ITB) 療法の小児痙縮に対する治療成績を分析したので報告する. 【方法】2012年3月の時点でITB療法のスクリーニングを受け, データ固定された17歳未満71名を対象とした. スクリーニング時, 埋め込み後1年以内, 2年以上の各時点で有効性, 合併症を検討した. 【結果】スクリーニング時にbaclofenが有効と判定された62名中43名がITB療法に移行した. 術後1年以内 : 有害事象19名30件, 内12名19件が副作用. 2年以上経過例21名 : 有害事象10名18件, 内4名9件が副作用. 主な副作用は筋緊張亢進, 肝機能異常, 血圧低下であった. 合併症発生率は従来の報告より少なかった. Ashworth評点は各時点で治療前に較べ有意に上肢・下肢とも軽減した (P<0.05). 【結論】小児重度痙縮に対するITB療法は安全に施行可能であり, 有効度は高い.
特集・第55回日本小児神経学会学術集会
シンポジウム10:難治性てんかんの病態を探る:分子遺伝学,病理,免疫,代謝異常,画像,電気生理
  • 高橋 孝雄, 三𣘺 隆行
    2014 年 46 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     臨床遺伝学や神経生物学の進歩により, 不明な点が多かった難治性てんかんの病態が明らかになりつつある. 特に神経細胞の膜電位を保持する, あるいは活動電位を形成する細胞膜上のイオンチャンネルの機能異常が難治性てんかんの原因として注目されてきた. 一方, 神経細胞間の情報伝達, 興奮あるいは抑制に関わる分子や神経細胞自体の異常によっても難治性てんかんが生じる可能性が想定されている. 難治性てんかんの病態の背景にある先天的要因を理解するためには, てんかん原性の中核要素である大脳の発生過程を理解しておくことが重要と考えられる. 本稿では, 大脳皮質の構造とその発生メカニズム (神経前駆細胞の分裂増殖, 分化誘導, 幼若な神経細胞の移動, シナプス形成など) の概略をご紹介する. 難治性てんかんの病態理解の一助となれば幸いである.
  • 加藤 光広
    2014 年 46 巻 3 号 p. 191-194
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児期の難治性てんかんの原因は遺伝要因が多い. 当初は予後良好な家族例の解析によってCHRNA4, KCNQ2, SCN1A, SCN2Aなどが同定され, チャネル病として理解された後, 年齢依存性てんかん性脳症の原因遺伝子として, ARX, CDKL5, STXBP1など非チャネル遺伝子が同定された. 最近では大田原症候群でもチャネル異常 (KCNQ2, SCN2A) が同定され, 両者の境界は現在あいまいである. 発達期の脳は, 脆弱性が高い一方可塑性も高く, 分子病態に応じた治療が発症早期に行われれば, 発作予後だけでなく脳機能全般の改善も期待しうることを示唆する.
  • —脳炎後てんかんと免疫—
    髙橋 幸利, 山口 解冬
    2014 年 46 巻 3 号 p. 195-201
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     代表的な難治性てんかんとして, 脳炎後てんかんの臨床, 免疫, 生化学的特徴を検討した. 加療中の症例では, 発作頻度は月単位で, 知的障害, 精神障害などを併存する症例が多く, 脳炎急性期から数年経過した時期においても, 発作・知的障害が進行悪化すると推測した. 局在関連性てんかんでは髄液NMDA型GluR抗体が高値で, NMDA型GluR内在化, アポトーシス誘導作用等により, 病態に影響していると推測され, matrix metalloproteinase-9の増加, tissue inhibitor of metalloproteinase-1の減少による血液脳関門障害も病態に影響していると推測された.
  • —特に異常高周波活動と病態との関係について—
    小林 勝弘, 東田 好広
    2014 年 46 巻 3 号 p. 202-206
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     小児期のてんかん性脳症において検出されるγ・高周波帯域異常活動は病態に関与する可能性が強い. 高周波振動はてんかん原性と深い関係があることは既に知られているが, 頭皮上脳波でこれを分析するためには, 緻密なフィルター設定と時間・周波数分析によるノイズとの識別が必要である. また頭皮上で検出される高周波は, 脳内で発生する高周波の中の特別な一部であると推測されるため, その意義の探求が必要である. 徐波睡眠時の持続性棘徐波における高周波振動は, diazepam静注により棘波そのものよりも強く抑制されることから, GABA作動性抑制系が頭皮で検出される高周波の発生に関与する可能性が示唆された.
夜間集会2:社会活動委員会
モーニング教育セミナー1:共同研究支援委員会
モーニング教育セミナー2:共同研究支援委員会
公開セミナー:産科医療補償制度検討委員会
原著論文
短報
  • 八木 麻理子, 楠 典子, 李 知子, 粟野 宏之, 児玉 浩子, 竹島 泰弘, 飯島 一誠
    2014 年 46 巻 3 号 p. 227-228
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/25
    ジャーナル フリー
     【目的】先天性銅代謝異常症であるMenkes病 (MD) の臨床像と遺伝子型, 銅補充開始時期の関連を検討する.
     【方法】ATP7A遺伝子変異を有するMD 3症例 (①p.D1305E, ②p.K1282E, ③p.P785fs) の臨床像と遺伝子型, 銅補充開始時期を比較した.
     【結果】ミスセンス変異の2例 (①, ②) では, 月齢6から銅補充を開始した②と比較して, 日齢21から銅補充を開始した①で, より良い発達を認めた. 月齢5~6より銅補充を開始した2例 (②, ③) を比較すると, フレームシフト変異を有した③は, 中枢神経症状の改善を認めず4歳時に死亡した.
     【結論】MDの臨床像は, 銅補充開始時期, 遺伝子型により異なる.
地方会
委員会報告
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