脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
原著論文
沖縄県における片側性痙直型脳性麻痺児の検討
當山 真弓當山 潤金城 陽子
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 49 巻 1 号 p. 11-14

詳細
抄録

 【目的】沖縄県にて出生した脳性麻痺児について, タイプ別の発生率の推移について調査したところ, 片側性痙直型が増加している印象を受けたので, その検討を行った. 【方法】対象は1988~2007年に沖縄県にて出生した片側性痙直型の脳性麻痺. 期間を1988~1997年 (前期), 1998~2007年 (後期) に二分して前後で発生率の傾向や, 在胎週数, 出生体重別の割合, 画像所見を比較した. 統計学的検定には, χ2検定, ポアソン回帰分析を用いた. 【結果】片側性痙直型脳性麻痺の発生率は, 後期で優位に増加傾向にあった (p<0.01). 後期では統計学的有意差はなかったが, 出生体重1,500~2,499g, 在胎週数32週以降の例が増加していた. 頭部画像所見では, 前期は不明例が多く比較検討はできなかったが, 後期では, 在胎週数31週以前で, 頭蓋内出血後の変化としての脳室拡大や孔脳症が認められ, 32週以降では, 脳梗塞が最も多く, その他に皮質形成異常, 先天性水頭症, 脳室周囲白質軟化症などの所見が認められ, 異常なしも4例で認められた. 【結論】今回の調査で片側性痙直型脳性麻痺は1998年以降に, 有意に増加傾向がみられた. 増加の原因は不明であった.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top