2017 年 49 巻 1 号 p. 46-50
非ヘルペス性急性辺縁系脳炎自験例に対して, 脳血流シンチグラフィーの診断的有用性を検討する. 臨床症状および抗神経自己抗体の証明により本脳炎と診断した3例を後方視的に検討した. 症例は6歳女児, 10歳女児, 13歳男子. 辺縁系症状があり, 他疾患が否定され, 抗神経抗体が検出された症例を非ヘルペス性辺縁系脳炎と診断した. いずれの症例でも頭部MRIでは典型的所見を認めなかったが, 脳血流シンチグラフィーでは辺縁系領域に血流変化を認めた. 退院時に全例で脳波異常を認め, 1例で症候性てんかんを発症した. 本脳炎では, 再発や脳波異常を残す症例もあり, 注意深い経過観察が必要である. また, 脳血流シンチグラフィーによる辺縁系の血流変化は本脳炎の補助診断として有益であると考えられた.